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2006年12月15日 (金)

涼宮ハルヒの動揺

涼宮ハルヒの動揺 Book 涼宮ハルヒの動揺

著者:谷川 流
販売元:角川書店
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 6巻目。短篇5つ。
 ネタバレややありなので、未読で知りたくない方は注意されたしです。



「ライブアライブ」「朝比奈ミクルの冒険 Episode 00」「ヒトメボレLOVER」「猫はどこに行った?」「朝比奈みくるの憂鬱」を収録。

 4巻「消失」で第一部完という感じで、これからはじまるであろう第2部にそなえて、6巻はそのつなぎというほどのポジションでしょうか。
 それほどの大事件も起きなく、劇中劇や雪の山荘でののほほんとした推理ゲームなど、他愛もないといえばないけど、楽しい話がつづきます。

 タイトルの動揺も作中人物の胸中をそれほどおおきく揺さぶるほどのものではないけれでも、ハルヒ、長門さん、朝比奈さんのそれぞれの変節や戸惑いや苦悩を描いてます。
 時系列のずらしや、伏線の張りや回収や先の展開に期待させてくれる布石もところどころあり、中継の巻としては充実してます。

 惜しむらくはこのシリーズは地の文の力があまり強くないので、小説好きとしては読みごたえという点ではやや不満でもあり、今後に期待というところでしょうか。

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2006年12月13日 (水)

桂東雑記Ⅳ

桂東雑記 4 Book 桂東雑記 4

著者:白川 静
販売元:平凡社
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 今秋、96歳で亡くなられた中国古代文学者、文字学者のエッセイ集の4冊目。
 やはり、「人間の命」とか「死を超えて」というタイトルのエッセイから気になって読んでしまう。でも、そういう読み方はやはり浅はかだったなと思いなおす。どの章もどのページも白川節に満ちていて、とてもエネルギッシュでヴィヴィッドだった。

「文字に命を与えるということが、わたしは教授者の役目ではないかというふうに考えております。」

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2006年12月12日 (火)

孫子兵法発掘物語

孫子兵法発掘物語 Book 孫子兵法発掘物語

著者:浅野 裕一,岳 南
販売元:岩波書店
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 1972年、文革のさなかに銀雀山漢墓で出土した孫子兵法などの竹簡という世紀の発見と発掘の過程をドキュメンタリー調で記録した内容。
 世紀の発見であるにもかかわらず、孫子兵法をめぐる社会状況はきびしい。
 きちんとした考古学手法で発掘が行われなかったために、竹簡の一部が破損してしまったりしている。そうしたところまで克明に描かれている。
 現場作業員から、国家文物局長まで取材の筆は及んでいる。

 あと発見者の幾人かに熱血漢がいて、自分たちがかかわっているのが、どれだけ歴史に価値のあることかを声高に主張しているくだりがあり、こういうひとたちによって孫子兵法が発見されたのは、とてもよかったと思った。
 
 第3章では、孫武と孫ビンの物語が歴史小説風に描かれてます。この章だけカラーが違うのが気になるといえばなるけれども、海音寺潮五郎『孫子』と読み比べると興味深いものがあります。

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2006年12月10日 (日)

涼宮ハルヒの暴走

涼宮ハルヒの暴走 Book 涼宮ハルヒの暴走

著者:谷川 流
販売元:角川書店
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 5巻目。
 短篇3篇。それぞれ夏、秋、冬が舞台。
 時系列を崩したり、つないだり、後処理としてならしたり、とこの作品ならではの特徴を前面に出してます。
 3篇ともカットバックの手法を使っているけれども、1篇目「エンドレスエイト」と3篇目「雪山症候群」はこの手法を使わないほうがコンパクトにまとまったようにおもいます。

 話としては、2篇目の「射手座の日」が好き。
 コンピュータ研とハルヒ率いるSOS団との宇宙艦隊もののリアルタイムなシミュレーションゲーム対決。手に汗にぎるほどおもしろかった。
 ここでも、長門さん大活躍。
 うわ、これもアニメーションで見てみたい。

 3篇目「雪山症候群」では、そんな頼りの長門さんが高熱でダウン。実務能力皆無のメンバーばかりが取り残されてかつてないほどの規模の敵が見え隠れするなか、最大の危機に、どうなるSOS団の巻。
 そうした状況のなかで団員思いぶりを見せるハルヒのすがたはよかった。
 あと、鶴屋さんのただものではなさもわかるのもポイント。

 総じて長門さんファン必読の短篇集。

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2006年12月 9日 (土)

宮城谷昌光『三国志』第五巻

三国志〈第5巻〉 Book 三国志〈第5巻〉

著者:宮城谷 昌光
販売元:文藝春秋
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 荀彧たちの進言により天子奉戴した曹操は北方四州を制圧した豪族の袁紹を当面の最大の敵と見据える。
 しかし、二州しか持たない曹操の周囲は、呂布(と陳宮)、張繍(と賈翊)、劉表、袁術、孫策、と容易ならざる敵ばかり。加えて、敵になったり味方になったりとつかみどころのない動きを見せつづける劉備。
 そんな曹操のもとを、軍師として荀攸、郭嘉、趙儼が、武人として徐晃、許猪、張遼が集まってきます。
 とくに郭嘉と曹操が初対面のときの問答は読みごたえあり。

 呂布との決着により、曹操に降伏するもの、死を選ぶもの、ちがいがきれいに分けられているのもみどころ。思いがけない人物もこのときに曹操の軍門に降っていて、三国志という物語の地層の深さを改めて知りました。

 そして、いよいよ袁紹との一大対決。官渡の戦いへと。
 関羽の顔良との対決もじっくり描かれてます。

 南では、孫策と周瑜のふたりの絆が戦乱という荒れ果てた野に咲いた一輪の花のように描かれていて、まことに美しいです。

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2006年12月 1日 (金)

涼宮ハルヒの消失

涼宮ハルヒの消失 Book 涼宮ハルヒの消失

著者:谷川 流
販売元:角川書店
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 4巻目。長篇。
 いつものように登校して、教室に行ったらそこにハルヒのすがたはなく、まわりのみんなもハルヒの存在さえ知らなくて、そしてハルヒの代わりにいたのは、という怖い話。

 おもしろかったです。
 1巻以来の完成度で、このレベルを4巻にいっぺんでも出してくれれば、全巻そろえていいですよ、という気持ちになりました。
 時空間倫理の処理の方法が、子供のころに見たドラえもんの映画みたい。
 このつづきは続刊で書かれるのだろうか。

 これまで、巻きこまれ型でいた語り手のキョンが、この巻ではじめて自発して動き、じぶんの気持ちにめざめ、果たすべく突進したりします。オーヴァードライブ感にあふれていて読みごたえあり。

 長門さんによる、文系男子ならば、きゅんきゅんしてしまうこと必至の場面もあり、そして全体をとおしてみても、ああ長門さんな溜息の一巻です。

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