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2007年12月22日 (土)

「吸血鬼/ヴァンパイア文学800・アート」賞授賞式&文芸朗読/トークショーレポ(その1)

 12/21 18:30

「吸血鬼/ヴァンパイア文学800・アート」賞
授賞式&文芸朗読/トークショー
http://www.yaso-peyotl.com/archives/2007/11/post_365.html

 浅草橋のギャラリー「parabolica-bis[パラボリカ・ビス]」にちょっと道に迷いつつも到着。
 開場されていないので、2階のギャラリーmattina[マッティナ]へ。マッティナとは眠りからさめるやわらかな朝という意味だそうです。

 丸尾末広のアートの前にたむろうヒモロギさん、クジラマクさん、立花腑楽さんに会う。ヒモロギさんを除いては西荻イベント以来です。
 そのあと五十嵐彪太くん、マンジュさん、はじめましてな峯岸さんと会う。
 酒月さんことフリーライターの門賀美央子さん、松本楽志さんも来られる。てのひら組でいっぱいだ。白ひびきさんもお見かけしたような。

 アートギャラリーは、小島文美、山本タカトの精密な画にうっとりさせられた。山本タカトは、自分のなかでいまいちばん注目の画家さんだ。丸尾末広の「笑う吸血鬼」と「ハライソ」のアートも展示されていて、この作品がこよなく好きなだけにうれしかった。

 田辺青蛙さん、勝山海百合さん登場。おおっ、こんなにてのひら作家さんが一同に会すのは西荻以来なのでは。正直、ここまで勢ぞろいするとは思っていなかった。
 五十嵐さんとマンジュさんのおふたりはてのひら作家のサインを熱心に収集されてました。僕もサインする。12名分くらい集まったそうな。

 会場の設置がやや押している感じ。ようやく入場開始。僕はなぜかチケット番号が1番でした。そんなに早く申し込んだわけでもないのですが。
 そんなわけで一番乗りに会場へ。せっかくなので椅子のある席のいちばん前に座ってみます。
 隣に門賀さん、その向こうに田辺さん、近くに勝山さんが座っておられました。
 そして、僕の左隣には、なにやら厚い本を手にしたしゃれた衣装の女性が。

 東雅夫さん、菊池秀行さん登場。司会を「夜想」編集長の今野さんがつとめます。今野さんが予想していたよりもお若いのでびっくり。
 まずはトークショーから、東さんから「幻想文学」と「夜想」のコラボレーション企画はかねてからやりたかったイベントであったことがまず告げられます。

 つづいて、菊池秀行さんのデビューから4半世紀にもわたる紹介がされます。ホラーとはむかしは少女漫画が発表媒体の多くで、男が好むものではなかったことなど、当時の状況が語られます。

 菊池さんはトークが面白かったです。会場ではひんぴんと笑い声があがりました。僕も何度も声を上げて笑いました。

「吸血鬼ドラキュラ」において、人間でははじめて吸血鬼に科学の力を駆使して反撃を試みたヴァン・ヘルシング教授はその後の吸血鬼と人間の戦いという一大テーマを生み出した偉人であることが熱を込めて語られます。

 東さんから、吸血鬼文学の系譜が語られます。これまで土着の怪物であった吸血鬼を貴族風に仕立てあげたのはポリドリの描いたルスヴェン卿がさきがけであり、卿のモデルはバイロンとうわさされたこと、怪奇小説好きには有名な話である、スイスの湖畔でシェリー夫妻との語らいのなかで、ポリドリの作品が誕生するきっかけになったことが告げられます。レ・ファニュのカーミラの話も。
 今野編集長からは、デュマの「モンテ・クリスト伯」にはルスヴェン卿の名前が出てくる箇所があることが注釈されます。

 そのあと、実際にトランシルヴァニアを訪れたことのある菊池さんのお話。ドラキュラはルーマニアの英雄ヴラド・ツェペシュをモデルにした作品なのですが、実際のトランシルヴァニアはいたってのどかで農家や畑ばかり、道らしい道もなくあたりは牛の糞だらけで、ドラキュラの面影も何もなかったことが告げられます。ここは菊池さんが突き放すようなしゃべり方で、笑いが起きてました。

 この話僕は、昔の「幻想文学」吸血鬼特集で須永朝彦さんとの対談のなかで一度読んでいるのですが、その記事の中ではやたらロマンが語られ、牛の糞の話題なんてまったく出ていなかったかと記憶しているのですが。

 会場には吸血鬼映画のポスターがずらりと貼られていました。
 菊池さんが吸血鬼にはまったのは小学5年生のときに、映画で観たのがきっかけだそうです。あまりの怖さに夜にトイレにいけなくなり、割り箸を枕元に用意して、いつ吸血鬼が現れても十字架が作れるように備えていたのだそうです。ここも大笑い。

 さて、ここで趣向を変えて、寄稿された作品の優秀作の朗読のはじまりです。
 朗読はCafe凛堂の女性三人によって行われます。

 高らかな声が会場に響きます。あとでわかったのですが、すでにこれはクジラマクさんの「饗宴」が朗読されているのでした。

 そして、謎だった僕の左隣にいた方も朗読者の一人でした。「我々は本物の吸血鬼」であり、ここは宴の場で、「贄となる人間を集めるための」罠であったことが告げられます。おそろしい話です。左隣のひとが吸血鬼であるのならば、最初の犠牲者は僕になるのでしょうか。血祭りの餌食でしょうか。逃げたほうがよいのでは。

 照明が落ちるためのカウントダウン。
 3人の女性による朗読が始まります。衣装はタキシード、正しくわからないですけどヘルシングの吸血鬼狩り部隊の戦闘服みたいなフォーマルウェア、パーティードレスでした。

 以下の作品が読まれました。

青山龍湖「少女中毒」
田辺青蛙「杏の血」
田辺青蛙「七つの子」
葦原崇貴「人探し」
黒狗「さらば、吸血鬼」
立花腑楽「オカシラ様」
金子みづは「夜の向日葵」
我妻俊樹「夜の部屋の舌」

 まず思ったのは、800字掌編作品も芝居がかったかたちの朗読になると、結構長く感じられるということです。

 タイトルは告げられましたが、作者名が伏せられたままで朗読がされます。作者名はあとでわかったのですが、みなさんいずれも800字作品なれされている実力ある手だれぞろい。よく練られた選ばれた優秀作は800字でもじつに充実した内容なのです。

 作者名は伏せられていたのですが、「杏の血」は冒頭の一行が読まれた瞬間に、あっ、田辺さんの作品だとすぐにわかりました。あとで聞いたら、勝山さんもすぐにわかったそうです。特徴があるということでしょうか。
 でも、その次の「七つの子」は田辺さんとは思いませんでした。同じ作者の別の作品が連続して読まれることはないだろうと、思いこんでいたせいでもありますが。

 つづく「人探し」は3人が代わる代わるに一文を鋭い声でたたみかけるように読んでゆくという趣向。「このなかにひとりだけ人間がいる」という内容なので、凄絶きわまりない、息を呑むようなすさまじい朗読でした。3人の声が時にはかぶったりするところも雰囲気が出ていました。作品も朗読されることを明らかに意識して書かれている内容でした。

 立花さんの「オカシラ様」は和風舶来吸血妖魅譚で、人気ある作品でした。僕もすごい好きな作品です。さらに、つけくわえるのであれば、立花さんはこの日、女子人気絶大でした。

 朗読も終わり、いったん休憩が入ります。 勝山さんや田辺さんと話したりする。
 ですぺらでよくお会いする学研のおふたりも発見。

 2階のギャラリーに移動。

 ポプラ社の斉藤さんが門賀さんと話していらした。先だって、斉藤さんにお贈りした「てのひら怪談 壽」の話になって、製本を手がけられた五十嵐彪太くんと引きあわせたりする。喜んでいただけてうれしいです。

 bk1の方もいらして、てのひら作家さん数名とのあいだに話が弾んでいました。

 15分が経過したところで、そろっておとなしく会場に戻ります。彪太くんがおっしゃったように「みなさんいい子ばかり」なのです。

 さて、いよいよ吸血鬼掌編文学賞アート作品の大賞優秀作発表と選考結果および授賞式のはじまりです。

(つづきます)

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丸尾末広+夜想ヴァンパイア・セレクション展(パラボリカ・ビス) JR浅草橋下車、人形店街を通り抜けて「丸尾末広+夜想ヴァンパイア・セレクション展」が開かれているパラボリカ・ビスへと向かう。しかし、お目当ての会場がわかりづらい。電話をかけて聞くと目の前のビルがそうであった。 現在発売中の夜想はヴァンパイア特集を組んでおりそれの関連企画か。「吸血鬼/ヴァンパイア文学800・アート」賞なるものも公募し、その受賞作も決まっているようです。 展示されている作品は3つのパートにわかれており、?丸尾末広... [続きを読む]

受信: 2007年12月25日 (火) 22時01分

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