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2009年8月24日 (月)

石神茉莉『謝肉祭の王』玩具館綺譚

謝肉祭の王 玩具館綺譚 (講談社ノベルス イQ- 2) Book 謝肉祭の王 玩具館綺譚 (講談社ノベルス イQ- 2)

著者:石神 茉莉
販売元:講談社
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 妖怪イベントなどで、しばしばお会いする、石神茉莉さんの講談社ノベルス「玩具館 三隣亡」シリーズ2作目が、先日、刊行されたので、さっそく読んでみました。

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 謎と心理描写の精密さで、くいくい引っ張ってくるストーリー展開なので、すぐに読み終わりました。
 シリーズでおなじみの玩具館「三隣亡」の店員兄妹も登場します。

 以下、ネタばれあり、感想です。

 

 

 

 

 

 

 イタリアの血を半分引いた美貌の若手男性が友人の女性作家、千晶にいわくありげな仮装用の仮面を譲り、その直後に忽然と失踪する。仮面には処刑にまつわる血なまぐさい伝説が。それを裏づけるように千晶の周囲にも不吉な事件が起きてゆく。

 千晶は母ひとり娘ひとりの暮らしで細細とながらも作家で生計を立てているのですが、本作はこの千晶の細密な心理描写によってストーリーがすすんでゆきます。
 現代の小説をめぐる出版界の流通の移りのめまぐるしさに嘆く場面など、ついつい幻想小説家としての作者の姿をかさねあわせて見てしまいます。
 主人公がそうした作者の投影と錯覚できるほどに近いせいか、うがつような心理の動きと、次第に忍び寄る得体の知れない恐怖への迫りくる不安ぶりには、ついつい読みふけってしまいます。
 後半からは、物語も求心性を持ち、恐怖も加速してくるので、一気です。

 黒を華やかに着こなす美女、美珠(みたま)は前作の1作目『人魚と提琴』ではストーカー男に対ゾンビ用銃で尋問する場面が、なんとも印象深かったですが、今度は日本刀できます。
 この、謎を全身にまとわせた沈着な美女が動揺したり、驚愕する場面を見る日が来るものかどうかも、自分にとっては、今後のシリーズを読んでゆく上での楽しみのひとつです。

 本シリーズでは定番となりつつある、お茶とスイーツの場面もふんだんに描かれています。

 それから、美珠の兄にして、「三隣亡」の店主の「ゾンビにしか興味のない男」のTが今回、たいへん頼りがいがあり、彼が登場して来るだけで安堵感をおぼえたものですが、これって僕だけの感想でしょうか。

 次回作にも期待度大です。

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